こちら、マニアックな内容なので、イタリア語学習に興味がある方だけしか楽しんでいただけないかもしれません。。。
イタリア語をある程度学んだ方なら接続法も一通り勉強していると思いますが、わたしは教材に載っているような使い方しかできず、時折、なぜここで接続法が使われるのかよく理解できていない場面がありました。
今回、イタリア人の友だちから「なるほど!」と思える説明をいただいたので、わたし自身忘れないように、そして接続法を使って表現のバリエーションを増やしたい方のためにも、ここに記してみようと思います。(誤字脱字や文法的誤りがある場合は教えてくださるとありがたいです。)
接続法がなぜ使われているのかわたしが理解ができなかった部分は、Giorgio Amitrano氏が村上春樹著「1Q84」をイタリア語へ訳した文です。
Leggeva pochi romanzi, ma era una lettrice vorace di libri che avessero a che fare con la storia.
1Q84 Murakami Haruki, Traduzione dal giapponese di Giorgio Amitrano
小説を読むことはあまりないが、歴史に関連した書物ならいくらでも読めた。
1Q84 村上春樹
まず、以下の接続法代表的用法のおさらいを。わたしの中では特定の単語と一緒に接続法が用いられることが多い印象でした。
- 主節に意見や想像を表す動詞が使われている時
Penso che Marco abbia ragione.
わたしはマルコが正しいと思う。 - 主節に願望や希望を表す動詞が使われている時
Spero che papà guarisca presto.
父が早くよくなってくれるといいのだけど。 - 主節に疑惑や不確実性を表す動詞が使われている時
Temo che perdano il treno.
彼らが電車を逃さないか心配だ。 - 主節に感情を表す動詞が使われている時
Sono contenta che tu stia bene.
あなたが元気でわたしは嬉しい。 - 譲歩(sebbene, nonostante, chiunqueなどが使われる先行節の中で使用)
Chiunque venga a trovarmi, non farlo entrare.
誰がわたしに会いに来たとしても、中に通さないで。 - 条件(purché, nel caso che, a condizione cheなどが使われる先行節の中で使用)
Nel caso che lei non possa venire, mi faccia sapere.
来れない場合は、お知らせください。 - 目的(perché, affinchéなどが使われる先行節の中で使用)
Ho prestato a lui quel libro perché lo leggesse.
(Affinché lui leggesse quel libro, gliel’ho prestato.)
彼が読むようにとあの本を貸した。
他にもまだまだたくさん接続法の用法はありますが、ここでは省きます。
今まで接続法を使うかどうかは主節の動詞から判断していました。それが、今回、上記抜粋の村上春樹著「1Q84」のイタリア語訳ではその動詞が見当たらず、なぜ接続法が使われているのか理解できませんでした。
“libri che avessero a che fare con la storia”
「歴史に関連した書物なら」この「なら」があるので接続法を使っていたのですね。接続法を用いることで「もし歴史に関連した書物なら読むけれども、それ以外はほとんど読まないよ」という条件のニュアンスが文章の背後に含まれるのだそうです。
“Leggeva pochi romanzi, ma era una lettrice vorace di libri che avevano (hanno) a che fare con la storia.”
もし、このように直接法なら、「小説を読むことはあまりないが、歴史に関連した書物をかなり読んだ。」と、どちらも単に事実を述べる表現になるのですね。
知らないことが多すぎるし、頭がパンクしそうになることも多々ですが、今回のようにスッキリ理解できたときは最高に気持ちいいし、こうして少しづつ疑問がクリアになるとイタリア語の読書が楽しみになります。
イタリア語を学習されているみなさん、これからも一緒に学び続けましょう!!!