イタリア語直接目的語

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直接目的語って何?

イタリア語の直接目的語は、他動詞行為の対象となるものを指します。直接目的語は、動詞の意味を完成させる働きがあります。最初のうちは、日本語の「〜を」に当てはまるものと考えてみると理解しやすいかもしれません。

直接目的語は前置詞(a, in, per, con, su…など)を付けずに直接他動詞の意味を補うので直接目的語と呼ばれています。

Asaco legge un libro.
あさこは本を読む

  • あさこは「読む」→ 何を?「本を
  • この文の他動詞は、legge(leggere)
  • 他動詞 leggere の「行為の対象となるもの」は、un libro

他動詞って何?

  • 直接目的語が必要な動詞のことを他動詞といいます。
  • 他動詞は、受動態(〜される)をつくることができます。
  • 直接目的語を言わなくても文の意味がわかるようなときは、直接目的語が省略されることがあります。
    省略されて使われることもある他動詞の例:mangiare(食事をする), bere(お酒を飲む)など
  • 動詞によっては、他動詞としても自動詞としても両方で使われる動詞があります。
    例)cominciare(〜を始める・始まる), finire(〜を終える・終わる), parlare (〜を話す・しゃべる)など

どんなものが直接目的語になるの?

直接目的語になるのは次の4つです。

  1. 名詞
  2. 代名詞
  3. 動詞の不定詞
  4. 名詞節(目的語になる節)

1. 名詞

Asaco guarda un film.
あさこは映画を観る。

  • あさこは「観る」→ 何を?「映画を
  • この文の他動詞は、guarda(guardare)
  • 他動詞 guardare の「行為の対象となるもの」は、un film

2. 代名詞

  • 一度話題に上がった物や人については、繰り返し同じ表現を避けるために、代名詞に置き換えて表現します。
  • 直接目的語の性・数に応じて適切な代名詞を選ぶ必要があります。
  • 複合形の過去形をつくる場合は過去分詞の語尾を性・数に応じて変化させる必要があります。(この記事では取り上げません。)

– Asaco, conosci Mario?
– あさこ、マリオ(のこと)を知ってる?

– Sì, lo conosco.
– うん、(彼のことを)知ってるよ。

  • あさこは「知ってる」→ 誰を?「彼を
  • この文の他動詞は、conosco(conoscere)
  • 他動詞 conoscere の「行為の対象となる人」は、Mario
  • Mario は「彼を」と置き換えられるので3人称男性単数の代名詞 lo に置き換えます。

このように、一度話題に上がった単語は繰り返しを避けて、代名詞を使って表します。

スクロールできます
人称単複日本語(〜を)非強勢形強勢形
1人称単数わたしをmime
2人称きみをtite

3人称
彼を/それを(男性単数)lolui
彼女を/それを(女性単数)
あなたを
la
La
lei
Lei
1人称複数わたしたちをcinoi
2人称きみたちをvivoi
3人称彼らを/それらを(男性複数)liloro
彼女たちを/それらを(女性複数)le
直接目的語として使う代名詞

代名詞の強勢形

非強勢形に比べて強いニュアンスを表します。例文で比べてみましょう。

まずは非強勢形から。

Ti amo.
(わたしは)あなたを愛している。

他動詞 amare の直接目的語が ti です。この ti は代名詞の非強勢形で、普通の文章だとこの形が多く使われています。

強勢形をみてみましょう。

Io amo te e non lui.
(わたしは)彼ではなくてあなたを愛しているの。

このように「あなたなのよ〜、彼じゃなくて!」と強調するような時に使うのが強勢形です。
ここでは te と lui の2つ非強勢形が使われています。

3. 動詞の不定詞

Oggi preferisco stare a casa.
(わたしは)今日家にいるほうがいい

  • わたしは「ほうがいい」→ 何することを好む?「家にいることを
  • この文の他動詞は、preferisco(preferire)
  • 他動詞 preferire の「行為の対象となるもの」は、動詞の不定詞 stare

4. 名詞節(目的語になる節)

Sai che Mario verrà in Giappone l’anno prossimo?
(きみは)マリオが来年日本に来るの知ってる

– Sì, lo so.
(わたしは)(そのことを)知ってるよ。

  • きみは「知ってる?」→ 何を?「Marioが来年日本に来ることを
  • この文の他動詞は、sapere
  • 他動詞 sapere の「行為の対象となるもの」は、名詞節 che Mario verrà in Giappone l’anno prossimo

一度話題に上がった che 以下の内容(ここでは、「Marioが来年日本に来ること」)を、代名詞(lo)を使って「そのこと」と表します。

このような場合の代名詞はいつも lo です。la にはなりません。(中性的な代名詞)

直接目的語はどこに置く?

  1. たいていの場合は他動詞のあとに前置詞をつけずに直接置きます。
  2. 代名詞を使って表現する場合は、たいていは他動詞の前に置きます。
  3. 補助動詞がある文章の場合、代名詞は2通りの置き方ができます。

1. 他動詞のあとに直接目的語を置く

Asaco legge un libro.
あさこは本を読む

他動詞 leggere のあとに前置詞をつけず直接 un libro を置きます。

2. 代名詞は他動詞の前に置く

– Asaco, conosci Mario?
– あさこ、マリオ(のこと)を知ってる?

– Sì, lo conosco.
– うん、(わたしは)(彼のことを)知ってるよ。

他動詞 conoscere の前に直接目的語 Mario を置き換えた代名詞 lo を置きます。

否定文のnon は代名詞の前に置く

– No, non lo conosco.
– いや、(わたしは)(彼のことを)知らないよ。

否定文をつくるときは、文全体を否定するので代名詞 lo より前に non を置きます。

3. 補助動詞がある文章の場合、代名詞は2通りの置き方がある

補助動詞とは、volere, potere, dovere, sapere のように、その後に動詞の不定詞を置いて表現がより豊かになるように動詞を補助している動詞です。

– Vuoi provare questa gonna?
– (きみは)このスカート試着したい?

– Sì, la voglio provare. ①
– Sì, voglio provarla. ②
– うん、(わたしは)(このスカートを)試着したい。

他動詞 provare の直接目的語 la gonna が女性名詞単数の代名詞の la に置き換わりましたが、今までのように他動詞 provare の前に la が置かれていません。

① 補助動詞 volere の前に代名詞 la を置く
か、
② 他動詞 provare の最後の文字 e を取り la をぴったりとくっつける
か、2通りの方法があります。

すべての直接目的語が「〜を」とはならない

直接目的語をとる他動詞の中には、日本語から考えてしまうと???となる場合があります。

La ringrazio.
(わたしは)(丁寧な表現の)あなた感謝します。

Lo chiamo.
(わたしは)電話する。

ringraziare も chiamare も他動詞なので、日本語の「〜を」にあたりませんが、それぞれの直接目的語は代名詞 La や Lo です。
このように日本語の文章をそっくりそのままイタリア語に置き換えられないことは多々あります。直接目的語を「〜を」と捉えるのは、あくまでも文法的な内容を理解するための補助程度とし、辞書で他動詞かどうか確認しながら使い方を覚えていきましょう。

おわりに

みなさんのイタリア語学習の参考になりますように。

Asaco

イタリアが好き。

2012年から
約8年間イタリア滞在、
現在は日本。

日本人へイタリア語の
イタリア人へ日本語の
オンラインレッスン受付中。

Webデザイン&製作。

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